Tech322c02

技術者の心得 : 品質管理に関する10ヵ条(その2)

品質管理は自分が日常行っている健康維持と同じである

西畑三樹男  森川 愼

泥棒は現場で捕まえろ

 皆さんの家で、万が一泥棒に入られたとしても、泥棒が逃げた後だったり、 人ごみの中に紛れ込んでしまったら容易に捕えることはできない。
 これは品質についても言えることで、外注さんから(社内でも同じ)納入 された部品で、重大な不良が発見されたとき、皆さんはどうするか。外注さ んに電話で選別にくるように言ったり、対策のために訪問する旨の話をするなら、 あなたは落第である。皆さんが外注さんのところにつくまでに、問題の本質にか かわる部分は隠蔽されていて(もちろんすべてがそうではありません。また具合 の悪いところは人に見せたくないもの)問題を根本から解決することはできないであろう。
 逆の立場を考えてみよう。当社で重大問題を起こしたときは、得意先の関係者がすぐ 来社し、現場を良く見てどこに問題があったのか、どうすれば再発が防げるのか、現場、 現物、現実で(本田技研ではこれを3現主義と言う)何時間でも時間をかけて解決して行 くであろう。このやり方が我々にも必要なのである。
 日頃の生産活動の中では“品質は工程で作られる”と言う思想で、下請けさんとも一体 となって取り組んでいる。したがって不良品は、受け取らない、造らない、渡さない、こ とが基本であるが、万が一、重要な不良が発見された場合には、これからは、“泥棒は現 場で捕まえろ”を合言葉にして現場に急行し、現場の人とも一体になって、3現主義で真 の原因を捕まえ対策をしてほしい。