技術者の心得 : 製造技術に関する10ヵ条(その4)

物作りほど魅力と満足度を同時に味わえるものはない

西畑三樹男  森川 愼

機械は“音、熱、臭い、振動”で健康状態を判断しろ

 皆さんが毎日乗っている車もだんだん古くなると、いろいろな症状を現すようになる。 エンジンからも、ボディからも、音や振動などのさまざまな情報が送られてくる。 それらの情報の中に車の健康状態を現す重要な鍵があり、いち早く手を打ってやること により、愛車に快適な状態で長く乗ることができる。
 これは、会社の工作機械や、自動組み立て機などについても同じことが言える。 機械の潤滑油が切れると摩擦で発熱したり、潤滑油の焼ける臭いが発生する。 締め付けボルトが弛むと、音や振動が出るようになる。およそ機械は音、熱、 臭い、振動に注意していれば異常を見逃すことは絶対にないと言える。
 したがって、自分の受け持ちの職場から、いつもと違った音、熱、臭い、振動が 出ていないか、常に気をつけるようにしてほしい。これは管理監督者だけの話ではなく、 全員に関心を持ってもらいたいものである。これを怠ると、ある日突然機械故障が発生 したり、生産停止や、不良多発と言うようなアクシデントにつながる。
 最近「TPM」という手法が確立されて、当社でもT-TPM(全員参加のTPM)として、 これに取り組んでいる。このような手法を全員参加で展開することも大事なことであるが、 その前に自分の職場の一寸した変化を常に注意し、気が付いたらすぐに直す行動力がもっ と大事なことである。このようなことが習慣として実行できる体質が身につけば、 TPMの展開もうまく進めることができると思う。